にぎやかに遊んでいた子どもたちも、練習の時刻になると、「黙想!」の掛け声とともに心を集中。体育館内も静寂に包まれます。小学生だけでも30名という大所帯ですが、呼吸を揃えて練習に臨む姿は、ひとつの生き物のよう。
前身となる「大野剣友会」から数えて、60年近い歴史を誇るチームには「我慢と決断」という「団訓」があります。
「我慢」=辛いことにも負けない。「と」=将棋の歩のように着実に前進。「決断」=自ら決める人に。
指導者である蓑毛先生は、こうおっしゃいます。「子どもたちには厳しい教えかもしれませんが、練習を重ね、苦難を乗り越え、自ら前に出て打っていく姿を見せてくれたときには、大きな成長を感じますね」
取材では、防具を着けたまま、きれいに揃った踊りを披露してくれた子どもたち。剣道は個人競技ですが、このチームには強く、確かなチームワークが息づいています。
日々の練習の中では礼儀作法も身につけ、さらに、痛みを伴う競技ゆえか、ほかの人のことを考えて行動するようになるそうです。やさしさと責任感。双方を育んでいくことが、強さのいちばんの秘訣なのかもしれません。