5月 胡瓜
キュウリ作り成功のポイント
板木技術士事務所 板木利隆
爽やかな緑と香味、心地良い歯触りが大きな魅力で、夏の食卓には欠かせません。長らく野菜の王座を占めていましたが、今ではトマトやイチゴなどに追い抜かれ一般家庭の消費は低迷しています。その原因としては、家庭での浅漬けの減少、規格が統一されて用途がサラダに限定されてしまったことなどが挙げられますが、家庭菜園であれば新鮮で収穫の大きさも自由に選ぶことができ、多彩な調理法も楽しめます。
上手に育て上げ、良果をたくさん得る成功のポイントは次の5点です。
(1)早い育ちに応えられるように元肥、追肥を上手に適期に施す
植え付けの20日以上前に、畝全面に堆肥、ピートモス、有機配合、化成肥料をまき、18〜20cmの深さによく耕し込みます。生育吸収が早いので初期から肥効が十分表れることが重要です。 追肥は半月に1回くらい、化成肥料と油かすを与え、肥料切れをさせないことが大切です。
(2)誘引、摘心を早めに入念に
毎日見回って図のように子づる(孫づるも同様に)の摘心を行い、親づるの支柱への縛りを遅れずに行いましょう。葉が込み過ぎたら、重なり葉や老化葉、病葉を摘除し採光、通風を良くします。
(3)マルチと灌水(かんすい)で防乾
根張りが浅く、根はもろく乾燥に弱い一方で、葉は大きくて蒸散が盛んなので、それに応じる水分補給と、地面蒸発防止のフィルムマルチや敷きわらが欠かせません。
(4)病害虫防除の薬散を適期に
べと病、炭そ病、アブラムシなどに要注意。特定の株から発生しやすいので、早期に発見、薬剤の早期散布を心掛けましょう。
(5)草勢に応じた大きさで収穫を
収穫果のサイズ100g程度は市場流通でのこと。自家産はそれにこだわらず大きめ(味はこれが一番)、草勢が衰えたら小さめ(もろきゅうとして利用)、花丸(雌花開花中のもの、つま物として)、開花中の雄花(料理の飾りとして)など、自由度の高い収穫サイズを楽しみましょう。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
5月 小松菜
初夏まきで9カ月も収穫できる小松菜
板木技術士事務所 板木利隆
おなじみの小松菜は、在来のカブから分化した古い歴史を持つ漬け菜の一種です。その名は江戸時代に現在の東京都江戸川区の小松川周辺の産物であったことから名付けられたと伝えられます。
強健な野菜で、耐寒、耐暑性に富み、周年的に栽培することができる上、土壌病害虫の発生も少なく、毎年同じ畑に連作できるので、面積にゆとりのない家庭菜園にも取り入れやすい魅力があります。
夏の青物の少ない時期から取り始めるには6月上・中旬がまき時です。生育が早いので種まきから25〜30日ぐらいで収穫できます。
通常は草丈が25〜30cmぐらいになったら逐次抜き取り収穫し、次々と種まきし、周年的な収穫を狙うのですが、ここで紹介するのは、株ごと収穫するのではなく、株は残したまま葉を葉柄から指やはさみでかき取り収穫する方法です。小松菜はカブを起源とするので、根は大変しっかりしており、節間が伸びることなく短い茎の節から葉が次々に生まれ伸長してくるのです。そのため草丈は30〜40cmぐらいしか伸びずに、夏、秋、冬とたくさんの葉を収穫、利用することができます。
収穫期間が長いので、元肥は図のようにしっかりと与え、畑の準備をしっかりして種まきします。
用いる品種は、葉が小さめ丸形で、緑が濃く、ゆっくり育ち長期間の収穫に適する「きよすみ」(サカタのタネ)などがお薦めです。
発芽後本葉2〜3枚のころと、草丈10cmのころ間引きし、最終株間を広めに10cmぐらいにします。そのころから15〜20日置きに、畝の側方に軽く溝を付けて、油かすと化成肥料を追肥します。
収穫は葉幅が7〜8cmになったころから葉柄の下部で爪先でかき取り、またははさみで摘み取りを行います。
葉の増え具合に応じて収穫葉数を考えながら、延々と3月上・中旬まで良質な葉が収穫できます。3月下旬になるととう立ちしてきますが、この花蕾(からい)も、ナバナと同様におひたしなどに利用できます。やや苦味が強いですが、旬の味覚が味わえます。
時期によってはコナガやヨトウムシ、アブラムシなど、アブラナ科を好む害虫にやられやすいので、よく観察し、発生初期に薬剤散布して防ぎます。夏には防暑、防虫を兼ねてのべた掛け資材の被覆も有効です。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。