キウイフルーツ
1月・2月のキウイフルーツの管理作業について 《Kaju 福岡の果樹 No.560》
平成28年産のキウイフルーツを振り返ると、開花期の天候不良によって花腐細菌病が発生し、結実が少ない園が見られました。また、果実肥大期の曇天、低温によって果実の肥大が不足し、単位収量が大きく減少しました。また、かいよう病についても一部園地で発生が見られ、生産者の大きな不安となっています。
かいよう病対策
平成26年にキウイフルーツかいよう病(Psa3)が県内で初めて発生が確認された以降、現在も各地区で発生し、大きな問題となっています。
防除対策
① 薬剤の予防散布
主な感染時期としては(早春~初夏)(秋~初冬)増殖適温10~20℃で活性化するため、この時期に銅剤等の予防散布の徹底が必要です。
② 感染経路
・樹体の傷口感染
・ハサミ・鋸などの器具の使い回し
・罹病樹から採取した花粉
③ 器具手入れ
感染樹、健全樹の見分け方が困難なため、せん定時、鋸・ハサミは樹毎に器具の消毒(次亜鉛素酸ナトリウムまたは70%アルコール)を行い感染を予防します。切り口は癒合剤等で保護します。
園内環境整備
キウイフルーツは台風等による影響を受けやすいため、冬季のうちに防風林・防風網の整備を行います。また、果実軟腐病原菌は、せん定枝や樹皮下、収穫後の果梗枝等に潜んでいます。そのため、園内の落葉や枯れ枝は、せん定時に外に持ち出して焼却し、樹皮をバークストリッパー等で剥ぎ、果梗枝はせん定時に切除する等耕種的防除を行います。
せん定作業
せん定時期は、落葉後より樹液流動が始まる2月上旬までに終了します。また、せん定によって充実した結果母枝を棚面へ配置し、高品質果実生産を行います。
① 樹形
樹齢が年々、古くなる毎に側枝や結果母枝が長くなり、ふところから枝の発生がしにくくなるため、亜主枝、側枝を主枝に近づけるような切返しせん定を行います。
※一度に亜主枝の切返しを行うと樹勢低下をまねくため2~3年で樹形を改造します。近年、せん定の省力化を図るため、一文字整枝やオールバック仕立てを行いせん定の効率化を図ります。
せん定の手順
一.主枝・亜主枝を決める。
二.側枝はできるだけ基部に戻す。
三.結果母枝は芽がしっかりと膨らんだものを使う。夏枝は充実が悪く、花が少なくなる。
② 結果母枝の配置
せん定終了後、充実した結果母枝を棚面へ均一に配置します。
母枝数は1㎡に2~3本を配置します。
一文字整枝は枝の配置が単純になりせん定作業が容易となります。主枝に対して40cm間隔で結果母枝を横に誘因を行います。ただし、結果母枝の切返しが弱いと新梢が過繁茂に成りやすくなります。
③ せん定が終了した園地では、再度棚面への結果母枝の配置を確認して下さい。
土壌改良
適正な土壌状態を維持するため、土壌分析による土壌の状態を把握して、必要に応じて有機物や石灰資材を投入します。
土壌分析については、普及指導センター等へ持込み、適正な土壌改良を行って下さい。
苗木の植付け
3月中旬には発根が始まるので、2月下旬までには植えつけます。
植え付け方法
たい肥等土壌改良資材と混和し、植え付けます。植え付け後は、株元に黒マルチや敷きわらをして、土壌乾燥の防止や雑草の発生抑制を行います。植え付けた苗木は充実した芽で切り返し、支柱等に誘引します。
防寒対策
若木では、凍害により主幹部が枯死したり裂けたりするので、厳寒期を過ぎる時期まで主幹部をわら等で覆い防寒対策を行います。