すもも
1月・2月のスモモの管理作業について 《Kaju 福岡の果樹 No.560 》
一月の管理
せん定の再確認
既に昨年末からせん定作業を始めていることと思います。これから取り組まれる場合は、11、12月号に詳しく記載されていますのでそちらを参照して下さい。
この時期は、縮伐・間伐、側枝・結果枝の配置、主枝・亜主枝先端の高さなどを再確認して下さい。
ふくろみ病対策
ふくろみ病は、芽が動き始める1月中旬から二月にかけての降雨量が多いと多発する傾向があります(写真1)。この期間に必ず二回防除して下さい。防除の際は枝先まで丁寧に散布するとともに、発病果は翌年の伝染源となるため、園内から速やかに排除して下さい。また、散布後にまとまった降雨があった場合は追加防除を行います。
二月の管理
ハウス・雨よけ栽培のビニル被覆
(1)低温遭遇時間の確認
スモモの自発休眠打破のためには、一定時間、低温に遭遇する必要があります。低温遭遇時間が不足した状態で被覆すると、発芽のばらつきや花の充実不足による結実不良などを起こすので、充分に低温に遭遇してから被覆します。大石早生李の場合、7.2℃以下で千時間以上必要です。南筑後地域では2月10日前後を被覆の目安にしていますが、年や地域によって寒暖の差が大きいので、最寄りの指導機関の情報を参考にして下さい。
加温栽培では、この時間に到達次第、雨よけ栽培との生育差をつけるため速やかに被覆して下さい。
(2)被覆前後のかん水
被覆すると樹体からの蒸散が多くなり枝や芽が乾きます。乾燥すると発芽の揃いや花の充実が悪くなるため、施設内の湿度を高く維持する必要があります。そこで、被覆直前もしくは直後に、水が根群域まで達するよう十分量(30mm程度)のかん水を行って下さい。さらに、芽が動き出すまでも定期的に十分なかん水を続けて下さい。実施時間帯は晴天日の午前中が理想です。また、枝水も発芽の揃いに効果的です。できればサイドビニルを閉める前後に行いますが、ハウス内温度の低下や凍結を避けるため、日没後の枝水は行わないで下さい。
発芽が揃ったら、乾燥しない程度に定期的にかん水します。
(3)被覆後の温度管理
施設内の昼温度は20℃以下を目安に管理します。高温になると、開花までの日数が短くなり花の充実が悪くなるので、少なくとも25℃以上にならないよう換気に気を付けて下さい。
加温栽培では、ならし期間としてビニル被覆後5日~1週間程度は氷点下にならない程度の加温をします。その後、本格的に加温を開始しますが、花の充実を図るため、被覆から開花までの期間が25~30日程度確保できるよう夜温設定を3~4℃にします。
灰星病対策
加温栽培では、2月末以降開花期を迎えます。灰星病は開花期から発生しますので、この時期も注意が必要です。多湿条件で発生しやすいので、かん水を控え、サイドビニルを開放するなどの換気を十分に行って下さい。薬剤散布を行う場合は各地域の防除基準に沿った薬剤を予防散布します。
土づくり
土壌の酸性を矯正する石灰質資材の施用は、本来は基肥施用前に行いますが、まだ実施されていない園では、追肥の2週間以上前の1月中旬までに行います。多くの石灰質資材は水に溶けにくいので、早めに降雨前に施用するか、施用後にかん水を行って下さい。
施肥(追肥)
2月上旬に、各地域の施肥基準に従って施用します。
苗の植え付け
植え付けは、根が動き始める2月上旬までに終えます。栽植本数はを参考にして下さい。
(1)植え付け
植え付け位置を決めたら第1図のように植え穴を掘ります。植え穴にバークたい肥等良質の有機物や土壌改良資材を施用し、土づくりを行います。
苗は、植え付け前に傷んだ根を健全部まで切り戻します。
苗木の根を四方に広げて植え付けますが、植え付け後に植え穴が沈下するため高畝気味とし、覆土をします。覆土の量は接ぎ木部が地上に出る程度とし、深植えにならないよう注意して下さい。その後、根と土が密着するよう覆土を軽く踏みつけ、十分かん水します。乾燥を防ぐため、表面を黒マルチか敷きわらで被覆して下さい。
(2)切り返し
覆土後、充実した部分で大きな葉芽を残して切り返し、支柱を添えて固定します(第1図)。切り返しの高さは、立木栽培では、しっかりした主枝を作る必要があるため60cm程度、二本主枝仕立ての棚栽培では、棚付けを考慮して、棚下60~70cmに相当する110cm程度とします。いずれも、切り返しが弱いと強勢な新梢が得られず、十分な整枝ができなくなるので切り返し程度に注意して下さい。