アスパラガス
1.2.3月のアスパラガスの栽培について《Vege 福岡の野菜 No.164》
1~3月の作業は、収量、品質の向上や効果的な病害虫対策を行う上で重要です。適期に的確な作業ができるよう、計画的に行って下さい。
全刈り・土壌焼却
多年生株では、12月下旬~1月初旬が全刈り・土壌焼却の時期であり、病害虫が多発したほ場ほど入念に焼却して下さい。
特に茎枯病の株は、事前に印をつけておき、焼却を徹底しましょう。
畝表面の掻き落とし
通気性、透水性の回復のため、畝の土を貯蔵根が少し見えるくらいまで通路に掻き落とします。
栽培年数が短い株は、地下茎の位置が浅いので隣芽群を傷付けないよう注意して下さい。
堆肥・基肥の施用。畝立て
石灰質資材や基肥は、土壌分析の結果を基にして施用量を決めて下さい。
完熟堆肥の10a当たり施用量は、三年株までは10t、4~9年株は4~6t、10年株以上3~4tが目安です。未熟堆肥は、穂先のとろけなどが発生するので使用しないで下さい。
通路に掻き落した土、基肥、堆肥を管理機で混和し、10cm程度の厚さに覆土して畝立てします。
保温前作業
保温開始前に、かん水チューブを高低差がない様に配置し、内張りカーテンを準備しておきます。
保温開始の直前に、たっぷりかん水し、保温後の乾燥を防ぎます。かん水ムラがあると、崩芽前に使用する除草剤の効果も劣ります。
保温開始
5℃以下の低温遭遇時間が、2年生株では350時間以上、多年生株では500時間以上になったら休眠から覚めます。気象情報を参考にして低温遭遇時間を確認し、保温開始日を決めて下さい。
低温遭遇時間が短いまま保温すると、萌芽の揃いが悪くなります。
ハウス内の温度管理
萌芽を促し、萌芽揃いを良くするためには高い地温が必要です。
地温が高いほど若茎の伸長は早くなるので、萌芽開始まではハウス内の温度は40℃を上限に管理します。35℃以上では穂先の開きなどが多発するので、萌芽開始後は35℃、萌芽揃い後は30℃を上限とします。
温度調節のため換気する時には、株に直接外気が当たらないよう注意して下さい。
2月以降は、晴天日にはハウス内の温度が急上昇することがあるので換気遅れ(忘れ)がないよう注意して下さい。
かん水・施肥
萌芽開始後の土壌の水分不足は、収量や品質の低下につながるので、十分にかん水しましょう。また、かん水は地温が低下しないようできるだけ晴天日に行い、少量多回数かん水に努めて下さい。
収穫開始後一か月後を目安に追肥を開始します。10a当たり窒素成分量で1~2kgを、以後2週間おきに施用します。
立 茎
立茎開始時期は、前年秋の生育や春芽の収穫量や出荷パターンにより異なります。① 多年生株で収穫開始40~50日後(三年生株30~40日後)、② 1日の収穫量が10a当り10~15kgを切った、③ L級が出なくなった、④ 異常茎が増えた、などを勘案して、状態が悪いほ場ほど早目にします。
また病気は、立茎期に株元や残さに残る病原菌に感染することが原因と考えられます。立茎始めから、親茎に定期的に薬剤防除をして下さい。