ほうれん草
10. 11. 12月のほうれん草の栽培について掲載しています。《Vege 福岡の野菜 No.147》
ほうれん草は、用途が広く食卓には欠かせない野菜の一つです。計画的に作付けを行い、安定供給を図りましょう。
酸度矯正
ほうれん草は、酸性土壌に弱く、適正な土壌pHは6.3~7.1です。
酸性土壌では、発芽後の本葉二~三枚で生育が停滞し葉が黄化する場合があります。pHを測定した後、石灰資材で矯正しましょう。炭酸苦土石灰を使用する場合は、pH5.5で10a当たり200kg程度、pH6.0で10a当たり100kg程度を目安に施用します。pHが5.5以下の場合は、炭酸苦土石灰を10a当たり200kg程度施用し、再度pHを測定し、目標pHとの差を確認した後、投入量を決定すると良いでしょう。
雨による湿害対策
昨年は、10~11月にかけての大雨により、生育不良となるほ場が見受けられました。弾丸暗渠や高畝栽培(20cm程度)、播種後の排水溝の整備などの排水対策を万全にしておきましょう。また、品種によっても差がありますので、湿害に強い品種を選ぶのも対策の一つです。
雨により根傷みを起こしてしまった場合は、液肥を定期的に葉面散布することで、回復を早めることができます。肥料についても流亡している可能性があるので、根の回復を待ってから、状況に応じて追肥を行います。
計画的な播種
秋季と春季は生育が早く、収穫適期が短いため、数回に分けて播種する必要があります。播種日と収穫時期は品種及び栽培地域、気象条件、トンネルの有無などによって異なります。労働力に合わせた計画的な播種を行いましょう。
黄化葉の発生
黄化葉の発生は、品質を著しく低下させるとともに、収穫・調製効率を悪くします。また、多発の場合は収穫皆無となりますので、対策を徹底しましょう。
べと病の発生
べと病は、10月以降に生育が進み、株元の風通しが悪くなると発生しやすくなります。近年までは、べと病の病原菌レースは1~7までの抵抗性品種が主流でしたが、レース8以降の病原菌も確認されたため、レース8やレース10までの品種も販売され始めています。このため、今まで使用していた品種でも、菌のレースにより発生することがあります。厚播きを避け、肥料切れを起こさないようにするとともに、早期発見、適期防除に努めましょう。